top of page
Blog article

Blog article

フィッシング詐欺とは?巧妙化する手口とその対策

  • Matsuda
  • 4月10日
  • 読了時間: 10分
フィッシング詐欺とは

近年、私たちのデジタルライフを脅かすフィッシング詐欺の被害が後を絶ちません。手口はますます巧妙化しており、誰もが被害者になる可能性があります。この記事では、「フィッシング詐欺とは何か?」という基本的な知識から、具体的な手口、そして最も重要な「フィッシング対策」について、最新情報を含めて詳しく解説します。


■なぜ対策が必要?蔓延するフィッシング詐欺


近年では特にフィッシング詐欺対策の必要性が叫ばれるようになりました。なぜでしょうか?

それは、近年のフィッシング詐欺被害の件数状況や、あとで解説する被害の影響度が関係しています。


独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表している「情報セキュリティ10大脅威」においても、フィッシング詐欺は2019年版から6年連続で上位にランクインしており、社会全体で対策が急務となっている深刻な問題です。


参考:IPA 情報セキュリティ10大脅威 2024 https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2024.html

報告されているフィッシングサイトのURL件数だけでも年々増加傾向にあり、私たちの身近に新たな脅威が次々と出現している状況と言えるでしょう。


 

■フィッシング詐欺とは?


フィッシング詐欺とは、実在する企業や組織を巧みに装い、偽の電子メールやSMSを送りつけたり、偽のウェブサイトへ誘導したりすることで、アカウント情報(ID、パスワード)、クレジットカード情報、氏名、住所、電話番号といった重要な個人情報などを不正に詐取するサイバー犯罪の一種です。その目的は、盗み出した情報を利用して金銭を窃取したり、さらなる犯罪に悪用したりすることにあります。


偽のメールで偽サイトに誘導する
図1)偽のメールを送り付けて偽サイトに誘導し、IDとパスワードを入力させる例

ちなみに、「フィッシング」の綴りは「phishing」で、語源は諸説あるようですが、総務省のホームページによると、魚釣り(fishing)と洗練(sophisticated)からの造語であると説明されています。


フィッシング詐欺による具体的な被害は深刻であり、以下のようなものが挙げられます。


  • 金銭的被害

インターネットバンキングでの不正送金、クレジットカードの不正利用による高額請求、オンラインサービスでの勝手な商品購入や有料サービスへの登録など、直接的な金銭の損失が発生します。


  • 個人情報の悪用と二次被害

盗まれた氏名、住所、電話番号、メールアドレス、パスワードなどの個人情報は、ダークウェブなどで売買されたり、他の詐欺(なりすまし詐欺、架空請求など)に利用されたりする可能性があります。また、他のサービスで同じパスワードを使い回している場合、被害が連鎖的に拡大する危険性も高まります。


  • アカウント乗っ取りと信用の失墜

SNSアカウントやメールアカウント、オンラインサービスのアカウントが乗っ取られ、本人になりすまして友人・知人へ詐欺メッセージを送ったり、不適切な投稿を行ったりすることで、社会的な信用を失うことにもつながりかねません。


一度フィッシング詐欺の被害に遭うと、金銭的な損失だけでなく、個人情報の不正利用による精神的苦痛や、アカウント復旧、各種手続きに多大な時間と労力を要することになります。


 

■わかっていても避けられない巧妙なフィッシングの手口


フィッシング詐欺の手口は、技術の進歩とともにますます巧妙化、悪質化しています。「自分は注意しているから大丈夫」といった過信は禁物です。攻撃者は人間の心理的な隙を巧みに突いてくるため、注意していても完全に回避することは難しく、非常にやっかいです。


代表的な手口を挙げて解説していきます。


  • 本物と見分けがつきにくい偽のメール/SMS(外見と内容の模倣)

フィッシングメールやSMSは、受信者が本物と誤認するように、その外見や体裁を非常に巧妙に偽装しています。

送信元のメールアドレスや表示名、SMSの送信者名も、正規の企業名やサービス名に酷似したもの、あるいは正規のドメインの一部を利用するなど、一見しただけでは偽物と気づきにくいように偽装されています。ロゴや署名なども本物そっくりにコピーされていたりと、普段届くメールと誤認してしまう可能性が高いものとなっています。


  • 人間の心理を巧みに利用するソーシャルエンジニアリング(心理的誘導)

フィッシング詐欺の巧妙さは、外見的な模倣だけではなく、人間の心理的な隙や感情を巧みに操る手口に支えられています。

例えば権威への服従「銀行からのお知らせ」など)、緊急性への反応「今すぐ対応しないと大変なことになる」など)、好奇心「当選しました」など)、時には親切心「情報更新にご協力ください」など)を利用して、受信者を巧みに操り、警戒心を解いて情報を引き出そうとします


  • 酷似した偽のウェブサイト

誘導先の偽ウェブサイトは、デザイン、レイアウト、ロゴ、ボタン配置に至るまで、本物の公式サイトと寸分違わぬほど精巧に作り込まれているケースが増えています。かつての事例では日本語に不自然な文章が含まれているなど、違和感から偽サイトを見抜くことができたケースもありましたが、近年のケースではかなり難しいでしょう。送られてきたメールの内容に不信感を持ったとしても、遷移先のウェブサイトを普段利用しているサイトだと思い込み、疑いなくIDやパスワード、クレジットカード情報などを入力してしまう被害が後を絶ちません。


URL(ウェブサイトのアドレス)も巧妙に偽装されます。例えば、正規ドメイン名に似た文字列を使ったり(例: microsft.com と microsoft.com)、正規ドメイン名の一部をサブドメインとして利用したり(例: amazon.co.jp.●●●.com)、一見すると正規サイトのように見えるURLが使われます。

HTTPS化(SSL/TLS証明書の導入)されている偽サイトも増えており、「鍵マークがあるから安全」とは一概に言えなくなっています。


これらの手口は日々進化し、組み合わされて利用されるため、常に最新の情報を把握し、細心の注意を払っているつもりでも、ふとした瞬間の油断や確認不足から被害に遭ってしまうリスクがあるのです。


 

■フィッシング対策:被害を防ぐための具体的な方法


巧妙化の一途をたどるフィッシング詐欺から自身の情報や財産を守るためには、日頃から複数のフィッシング対策を意識し、実践することが極めて重要です。


以下に、有効な対策を具体的に解説します。


  • 公式サイトはブックマークや公式アプリからアクセスする

メールやSMS、検索結果に表示されたリンクから安易にアクセスするのではなく、普段利用する金融機関、ショッピングサイト、SNSなどのウェブサイトは、事前に公式な手順でブラウザのブックマーク(お気に入り)に登録しておくか、提供されている公式アプリを利用するようにしましょう。

ブックマークや公式アプリからのアクセスは、偽サイトへ誘導されるリスクを根本的に排除する最も確実な方法の一つです。


  • メールやSMS内のリンク、添付ファイルは安易に開かない

「アカウント情報更新」「セキュリティ警告」「当選通知」「荷物のお届け」などを装うメールやSMSを受信した場合、本文中のリンクやURLは絶対にクリックせず、添付ファイルも開かないようにしてください。特に、個人情報や認証情報(ID、パスワード)、クレジットカード情報などの入力を促す内容には最大限の警戒が必要です。


リンクの表示文字列と実際の飛び先URLが異なっていることは常套手段です。クリックした瞬間に偽サイトへ誘導されたり、マルウェアがダウンロードされたりする危険があります。真偽を確認したい場合は、ブックマークや公式アプリから公式サイトにアクセスし、お知らせなどを確認するか、公式の問い合わせ窓口に連絡しましょう。


  • OS、ブラウザ、セキュリティ対策ソフトを常に最新の状態に保つ

お使いのパソコンやスマートフォンのOS、ウェブブラウザ、そして総合セキュリティ対策ソフトは、提供元から更新プログラムが配布されたら速やかに適用し、常に最新のバージョンを利用しましょう。


OSやソフトウェアの脆弱性を放置すると、それを悪用した攻撃(フィッシングサイトへの誘導やマルウェア感染など)を受けるリスクが高まります。セキュリティ対策ソフトは、既知のフィッシングサイトを検知・ブロックしたり、不審な挙動を警告したりする機能を提供しており、最新の定義ファイルに更新することで、新たな脅威への対応力を維持できます。


  • パスワード管理の徹底と多要素認証(MFA)の積極的な利用

ログインパスワードは、サービスごとに異なる、複雑で推測されにくいもの(英大文字・小文字・数字・記号を組み合わせ、十分な長さを持つもの)を設定しましょう。パスワードの使い回しは絶対に避けてください。さらに、サービスが対応していれば、パスワードに加えて、SMS認証コード、認証アプリ(Google Authenticator, Microsoft Authenticatorなど)、セキュリティキーなど、複数の認証要素を組み合わせる多要素認証(MFA)を必ず設定しましょう。


パスワードの使い回しは、一つのサービスで漏洩した場合、他のサービスへの不正アクセス被害を連鎖的に引き起こす原因となります。多要素認証を設定しておけば、万が一パスワードが漏洩したとしても、追加の認証要素がなければ不正ログインを防ぐことができ、アカウントのセキュリティレベルを飛躍的に高められます。


  • 【特に有効な対策】パスキー(Passkeys)の活用を検討・推進する

フィッシング対策の切り札として、近年急速に普及が進んでいるのがパスキーです。パスキーは、FIDO(ファイド)アライアンスによって標準化された新しいオンライン認証技術で、従来のパスワード認証が抱える根本的な問題点を解決し、フィッシング詐欺に対して原理的に強い耐性を持っています。


国内外の多くの主要サービスでパスキーへの対応が進んでいます。自身が利用しているサービスがパスキーに対応しているかを確認し、対応していれば積極的にパスキーを登録・設定し、パスワードに代わる主要なログイン方法として利用することを強く推奨します。これにより、そのサービスにおけるフィッシングリスクを大幅に低減できます。


パスキーがフィッシングに強い理由


  • 記憶・入力するパスワードが存在しない

    パスキー認証では、ユーザーが覚えるべき、あるいは入力するパスワード自体が存在しません。代わりに、デバイス(スマートフォンやPC、セキュリティキー)内に安全に保管された秘密鍵と、ウェブサイト側に登録された公開鍵のペアで認証を行います。そのため、フィッシングサイトで盗まれる「パスワード」というものがありません。


  • オリジン(ドメイン)バインディング

    パスキーは、生成・登録された正規のウェブサイト(ドメイン)でしか機能しません。攻撃者が本物そっくりの偽サイトを用意しても、ドメインが異なるため、その偽サイトでユーザーのパスキーが有効になることはありません。これにより、ユーザーが誤って偽サイトで認証操作をしようとしても、認証情報が盗まれることを防ぎます。


  • デバイスと生体認証等の連携

    パスキーの利用には、通常、そのパスキーが保存されているデバイス(スマートフォン、PC、セキュリティキーなど)のロック解除(PINコード入力、指紋認証、顔認証など)が必要です。これにより、デバイスの物理的な所有と本人の生体情報などが組み合わされ、第三者によるなりすましを極めて困難にします


 

■まとめ


フィッシング詐欺とは、私たちの個人情報や金銭を狙う非常に悪質かつ巧妙なサイバー犯罪であり、その脅威はIPAの調査結果にも示される通り、年々深刻化しています。

被害に遭わないためには、「自分は大丈夫」という油断を捨て、常に警戒心を持つことが基本です。そして、ブックマークの活用、不審なリンクや添付ファイルを開かない、OSやソフトウェアの最新化、複雑なパスワード管理と多要素認証の設定といった基本的なフィッシング対策を確実に実践することが重要です。


特に、フィッシング対策の決定版とも言えるパスキーの活用は、今後のオンラインセキュリティにおいて非常に有効な手段となります。対応サービスにおいては積極的にパスキーへ移行し、パスワードへの依存度を減らしていくことで、より安全で快適なデジタルライフを実現しましょう。


弊社はパスキーに対応したセキュリティキーの販売のほか、パスキーの技術を利用したセキュリティサービス YubiOn を提供しておりますので、フィッシング詐欺をはじめとするサイバー攻撃への対策をお考えの方は、ぜひYubiOnの導入をご検討ください。


YubiOnの各製品に関する詳細情報、導入に関するご相談、資料請求などはお問い合わせフォームから受け付けております。お気軽にお問い合わせください。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


 

■関連リンク


[セキュリティキー販売]


パスキーでスマートにログオン

[YubiOn FIDO Logon]


いつもの認証をパスキーに

[YubiOn FIDO2 Server]


[製品に関するお問い合わせ]

All Tags

bottom of page